良い意味でラフに、難しく考えすぎず。カスタマージャーニーマップ作成の4つのステップ

カスタマージャーニーマップ作成の4つのステップ

デジタルマーケティングに取り組むにあたって最も大切なポイントの1つが、顧客について正しく理解すること。

どんなに大きな予算をかけてリスティング広告を出稿しても、質・量ともに充実したオウンドメディアを立ち上げても、それが顧客のニーズや興味・関心にマッチするものでなければ、売り上げや問い合わせには結びつきません。

また、近年はスマートフォンアプリやソーシャルメディアの普及によって場所を問わず大量の情報にタッチできるようになり、消費者の購買スタイルも多様化してきました。

そうしたなかで継続的に成果をあげるためには、「何をきっかけに商品やサービスを知るのか?」、「知った後どんなアクションが考えられるのか?」といった仮説・検証を含め、よりピンポイントなアプローチが必要です。

今回ご紹介するカスタマージャーニーマップは、そうした顧客の行動や思考を正しく認識するため枠組みの1つ。概要やメリットとあわせて、具体的な作成方法を見ていきましょう。

カスタマージャーニーマップとは?

カスタマージャーニーとは顧客が商品・サービスを知り、比較・検討を経て意思決定(購入など)にいたるまでの道筋を指す言葉。日本語に直訳すれば「顧客の旅」となり、その道筋を図式化したフレームワークが「カスタマージャーニーマップ」です。

カスタマージャーニーマップの形はさまざまですが、一般的には意思決定にいたるまでの顧客の行動や思考を時系列で分け、それぞれのフェーズにおける自社とのタッチポイント(webサイト、イベントなど)や具体的な施策(ブログ記事の公開、セミナー開催など)を併記する形となります。

マーケティング手法としての歴史は古く、1920年代にアメリカで提唱されたAIDMA理論などとあわせてデジタルマーケティングの黎明期以前から多くの企業に取り入れられてきました。

最近ではレクサスやLEGOといった世界的なブランドがカスタマージャーニーマップを用い、売り上げやwebサイトのアクセス数を大きく伸ばすといった成果をあげているようです。

具体的なメリット

概要を整理したところで、次はメリットについて。カスタマージャーニーマップを作成すると具体的にどんな利点があるのでしょうか?

1.意思決定のスピードが高まる

1つめのメリットは、意思決定のスピードを高められること。

カスタマージャーニーマップのつくり方については後ほど詳しくご紹介しますが、商材についての情報収集、比較・検討といった消費者のアクションを複数のフェーズに分けておくことで、フェーズごとにどんな施策が必要なのかスムーズに洗い出せます。おのずと意思決定は早まり、施策をスムーズに実行に移せるようになるでしょう。

2.役割分担が明確に

2つめのメリットは、社内の役割分担が明確になる点。

業種を問わずモノやサービスを売るためには、営業、マーケティング、開発・制作、カスタマーサポートなど複数の部署・スタッフの協力体制が欠かせませんが、それぞれが独自の裁量で成果をあげようとするあまり、業務分掌が重なって生産性が落ちたり、本来のミッションから離れた業務に時間を費やしてしまったりするケースは少なくありません。

一方でカスタマージャーニーマップを導入すれば、フェーズごとに必要な業務が可視化され、認知拡大はマーケティング、売り上げ獲得は営業といったようにそれぞれの役割が明確になります。プロジェクト全体のなかでのミッション、自分が何にコミットするべきなのかがはっきりと示される分、達成意欲は高まり、生産性のアップにもつながるはずです。

3.効果を検証しやすい

施策の効果を検証しやすいのもカスタマージャーニーマップのメリットの1つです。

繰り返しご紹介してきたとおり、カスタマージャーニーマップは消費者の行動を時系列で図式化し、必要な施策を併記するフレームワーク。リスティング広告の出稿、webサイトのコンテンツ拡充など、施策それぞれに個別の目的・役割が紐づけられるため、想定した成果があがらなかった場合もどこに問題があったのか把握しやすいという利点があります。

「何となく…」、「他社がやっているから…」といった曖昧な理由で始めたマーケティング施策のように、効果をつかめないまま無駄に予算だけを消化するような失敗はなくなるでしょう。

カスタマージャーニーマップ作成の4つのステップ

ここからは上記の内容をふまえつつ、カスタマージャーニーマップの作成方法を4つのプロセスに分けて解説していきます。

1.ペルソナを設計する

まず着手すべきなのはペルソナの設計です。既存の顧客データ(メルマガの読者プロフィール、オンラインショップの購買者データなど)をもとにターゲットの人物像を定めましょう。

設計の際は、年齢や性別、年収といった定量的な情報に加えて、趣味、休日の過ごし方、好きなアーティストといった定性的なデータまで盛り込んでおくのがおすすめ。

あくまで想定とはいえ情報が多くなるほど人物像が明確になり、価値観や行動パターンにあわせた施策を見出しやすくなるからです。

また、カスタマージャーニーマップにおけるペルソナは必ずしも1人に絞り込む必要はありませんが、ペルソナが増えるほどマップ上の情報量は増え、施策も複雑になっていくので、多くても3人程度までにとどめておいた方がいいと思います。

2.ゴールを設定する

ペルソナが定まったら、次はゴールの設定。

設定の仕方は業種や取り扱う商材によってもさまざまですが、できれば具体的な数字(昨年対比で売り上げ〇〇%アップ、新規顧客〇〇名獲得など)まで固めておくと、やはり施策の立案につながりやすくなるでしょう。あわせていつまでに目標を達成するのか、具体的な期間を定めてくのも忘れずに。

3.フレームを決める

続けてターゲットとゴールをもとにマップ全体のフレームをつくり上げていきます。

こちらも方法はさまざまですが、一般的にはマップの横軸を「認知」→「興味・関心」→「比較・検討」→「意思決定」という購買プロセスに分け、縦軸に顧客の行動や思考、自社とのタッチポイント、具体的な施策などを並べる形が主流です。

ビジネス系のwebサイトなどではこの形式のテンプレートが数多く用意されているので、初めての場合はそれらをダウンロードして利用するのもいいでしょう。

4.情報をマッピングする

フレームを決めたら、次はいよいよマップの作成。各フェーズにおける顧客の思考(例.「ダイエットに役立つ商品が知りたい」、「安い化粧品が欲しい」など)や、行動(例.「Googleで調べる」、「SNSで相談する」など)にあわせて、タッチポイントや具体的な施策をフレーム上にマッピングしていきます。

この際に注意したいのは、「こんな行動をとるはず」、「こう考えてほしい」といった思い込み・願望にとらわれないようにすること。

客観的かつ現実的な内容のカスタマージャーニーマップを作成するためには、顧客データをはじめとするエビデンスを揃えたうえで、営業やカスタマーサポートなど複数の部署のメンバーの意見を取り入れながら進めていくのがいいでしょう。

ややアナログなやり方にはなりますが、カスタマージャーニーマップを使って成果をあげている企業のなかには、マップをA3サイズ用紙に拡大印刷したうえでブレスト形式のミーティングを開き、手書きの付箋を貼りながら作成しているところもあるようです。

AutoPilotAcademyが提唱するカスタマージャーニーマップ

以下はAutoPilotAcademyが提唱するEメールマーケティングを成功させるためのカスタマージャーニーマップです。ぜひご参考ください。

Eメールマーケティングを成功に導くカスタマージャーニー

1.認知:顧客は、まず最初に、PPC広告やソーシャルメディアやブログなどであなたの商品やサービスについて認知します。
2.購読:リードマグネットオファーで成約した潜在顧客は見込み顧客になります。
3.価値を受け取る:各種コンテンツを受け取ります。
コンテンツはEメールで受け取ります。

4.初回購入:集客商品にあたる商品やサービスを購入します。
見込み顧客は既存顧客になります。
オファーはEメールで受け取ります。

5.学習:購入した商品やサービスの使い方について学習します。
6.価値を知る:購入した商品やサービスの本当の価値を知ります。
7.報告:商品やサービスについての評価を各種アンケートなどを通してあなたに報告します。
8.二回目購入:収益商品にあたる商品やサービスを購入します。
オファーはEメールで受け取ります。

9.学習:購入した商品やサービスの使い方について学習します。
10.価値を知る:購入した商品やサービスの本当の価値を知ります。
そして、ファンになります。

11.口コミ:商品やサービスの優れた点をソーシャルメディアなどを通して周囲に語り始めます。
12.支持:積極的に商品やサービスの販促をします。

最後に

今回は顧客を正しく理解するための手法として、カスタマージャーニーマップのメリットや作成方法をご紹介しました。

ここまで見てきてわかるように、カスタマージャーニーマップの作成は相応の手間のかかる作業。ペルソナやフレームの作成にはそれなりの時間を要するうえ想定・推測にもとづく部分も多く、施策を打った後に全体の見直しが必要になるケースもゼロではありません。

そういった点では最初から難しく考えすぎず、良い意味でラフにスタートするのも1つ。施策を通じて得られたヒントなどを参考にしながら、関連部署で協力し合い、少しずつブラッシュアップしていくのが成果への近道だと思います。

今回の内容をぜひお役立てください。

執筆者:AutoPilotAcademy編集部

執筆者:AutoPilotAcademy編集部

AutoPilotAcademy[オートパイロットアカデミー]は見込み顧客獲得と成約率向上のための最善の方法をお教えしています。
ネットを使って顧客との強固な関係を構築することができるようになり、小さな企業でも大きな成長を実現することができます。

監修者:小池英樹

監修者:小池英樹

AutoPilotAcademy[オートパイロットアカデミー] CEO 小池英樹 新潟市のマーケター(36歳)。新潟県新潟市生まれ、新潟市育ち、上智大学卒。 2011年にRutuboを設立、カネなし、コネなし、ノウハウなしの状況から独立。ヨドバシカメラで購入したホームページ作成ツール「Bind」を手元に事業開始。 顧客ゼロ・無収入の状態から販売促進を学び、中小企業300社以上のオンライン集客支援に携わる。顧客は日本全国及びに海外で活躍する日系企業に及ぶ。 顧客企業の集客支援も手掛ける傍ら、AutoPilotAcademyでは、培ってきた集客のノウハウを伝えている。 顧客獲得に苦心するスモールビジネスオーナーのためのオンライン集客のバイブルを作ることを目標としている。