総務省の情報通信白書(令和3年版)によると、インターネットユーザーのスマートフォン利用率は68.3%。iPhone、Android端末が広く普及し、場所・時間を問わず多くの情報にタッチできるようになったことで、ネットユーザーの行動様式、購買スタイルは著しく変化しました。
ネット広告への影響も大きく、最近ではリスティング広告をクリックして商品ページを訪れたあと一度離脱し、アプリや動画チャンネルで情報を集め、あらためて購入を検討するといったユーザーも少なくありません。
そうしたなか、「リスティング広告の効果が頭打ちになっている」、「広告文とランディングページをいくら改善しても、コンバージョンが上がらない」と頭を悩ませているマーケティング担当の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そうした際に解決策となるのが、今回取り上げるRLSA。概要を整理しつつ、具体的なメリットや設定方法を見ていきましょう。
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RLSAとは?
RLSA(Remarketing Lists for Search Ads)を日本語に訳すと、「検索連動広告向けリマーケティングリスト」。過去にWebサイトを訪れたり、ショッピングカートに商品を入れた状態で離脱したりしてしまったユーザーをリスト化して広告の配信対象に指定し、入札単価を調整できる機能です。
ディスプレイ広告やソーシャルメディア広告でおなじみのリマーケティング機能のリスティング広告版と考えるとわかりやすいかもしれません。
詳しくは次章でご紹介しますが、自社と何らかの接点があるユーザー、商品やサービスに一定の興味・関心を抱いているユーザーに絞ってリスティング広告を配信することで、費用対効果を大きく高めることができます。
RLSAのメリット
1.キーワードの幅が広がる
RLSAのとりわけ大きな利点は、幅広いキーワードでリーチできること。
たとえば、医薬品とコスメを中心に日用品、酒類などを幅広く取り扱っているドラッグストアが購入単価を改善したいという場合、通常の検索キャンペーンで「台所 洗剤」、「日本酒 〇〇(銘柄)」といったキーワードを入札しても、他の小売店やリカーショップの広告と競合してしまい、狙いどおりの成果はなかなか得られません。
そこで有効になるのが、リストを絞りこむこと。RLSAを使い、配信ターゲットを主力商品の購入履歴があるユーザーに限定することで、ライバル他社とのバッティングを避けつつ、効率的にクロスセルが図れるようになるというわけです。
2.ビッグワードで勝負できる
広く知られているとおり、不動産、医療、ペット関連といった競合の多い業種ではビッグワードの入札単価が高騰します。キーワードによってはCPCが数千円単位に達し、コンバージョンを得られないまま広告予算を使い切ってしまうといったケースも珍しくありません。
そうした場合も1.と同様、RLSAによって配信ターゲットを絞りこむことで、競合とのバッティングを避け、限られた予算を有効活用できるようになります。
3.ロイヤリティ向上につながる
RLSAを使えば、過去に自社のオンラインショップを訪れ、トライアル購入や試供品の申し込みをしたユーザーに限定してリスティング広告を配信することも可能です。
たとえば、サプリメントや健康食品をはじめとする低単価の商材、継続的な購入や顧客単価の向上が収益アップの鍵となる商材の場合、通常の検索キャンペーンでトライアル購入を促しつつ、RLSAを併用して既存顧客向けの広告を配信することで、顧客の母集団を確保しつつ、ロイヤリティとLTV(顧客生涯価値)を同時に高めることができます。
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Google広告のRLSAの設定方法
ここからは、Googleのリスティング広告におけるRLSAの設定方法をご紹介していきます。
まずは、Google広告の管理画面左側のメニューから「オーディエンス」を選択し、鉛筆型のアイコンをクリックしてオーディエンスの編集画面を表示させます。ここでRLSAの追加先(キャンペーンorグループ)を決めるのですが、RLSAを利用するのが初めての場合は広告グループを選びましょう。
グループ単位でスモールスタートした方が効果検証しやすく、効果があがらない場合も全体予算への影響を最小限に抑えたうえで、速やかに軌道修正できるからです。
追加先として広告グループを選んだら、次はターゲットの設定方法に移ります。リターゲティングリストのみにリスティング広告を配信したい場合は「ターゲティング」、リスト以外のユーザーも含めてアプローチしたい場合は「モニタリング」を選びましょう。
続いて、編集画面の「閲覧」→「ユーザーがお客様のビジネスを利用した方法」をクリック。広告の配信先となるオーディエンス(リターゲティングリスト)を指定します。
Google広告のRLSAでは、自社のWebサイトの訪問履歴があるユーザーのほか、アプリユーザーやYouTubeユーザーなど計6種類のリターゲティングリストが用意されていますが、アプリ内での行動ログや動画の視聴履歴に応じて広告を出し分けるには相応のノウハウが欠かせません。初めての場合はシンプルに「ウェブサイトを訪れたユーザー」を選ぶのがいいでしょう。
ターゲットを絞ったら、対象期間などを設定し、「保存」をクリックすれば設定完了です。
RLSAを利用する際の注意点
最後はRLSAを利用する際の注意点について。前述のようなメリットを享受するためには、どんな点に配慮すべきなのでしょうか?
1つめはCPC。既存顧客の囲い込みやビッグワードでのアプローチを可能にし、リスティング広告の費用対効果を高められるRLSAですが、限定された範囲での広告配信となる分、入札単価やCPCそのものは高くなる傾向があります。
リストの属性・ボリューム、業種などによって違いがあるので一概には言えないものの、大まかな目安としては通常の1.5倍から2倍ほど。通常の検索キャンペーンと同じ感覚で入札単価を手動設定してしまうと、広告が配信されない可能性があるので注意しましょう。
2つめはユーザー数。Googleリスティング広告の場合、過去30日の間に対象となるユーザーが1,000名以上いないとRLSAを利用することができません。
リリースから日が浅くトラフィックが小さいサービスサイトや、ニッチ商材を取り扱っているネットショップではまず、SEO対策などを通じてユーザーの母集団を確保しておく必要があります。
今回ご紹介した内容がみなさまの参考になれば幸いです。
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執筆者:AutoPilotAcademy編集部
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監修者:小池英樹
AutoPilotAcademy[オートパイロットアカデミー] CEO 小池英樹 新潟市のマーケター(36歳)。新潟県新潟市生まれ、新潟市育ち、上智大学卒。 2011年にRutuboを設立、カネなし、コネなし、ノウハウなしの状況から独立。ヨドバシカメラで購入したホームページ作成ツール「Bind」を手元に事業開始。 顧客ゼロ・無収入の状態から販売促進を学び、中小企業300社以上のオンライン集客支援に携わる。顧客は日本全国及びに海外で活躍する日系企業に及ぶ。 顧客企業の集客支援も手掛ける傍ら、AutoPilotAcademyでは、培ってきた集客のノウハウを伝えている。 顧客獲得に苦心するスモールビジネスオーナーのためのオンライン集客のバイブルを作ることを目標としている。