AIに任せっきりはNG。Google広告における自動入札のメリット&デメリット

勝つためにはまずルールを知ること。SEO対策の行動規範とも言えるGoogleアルゴリズムを徹底解説

Google広告を運用していくにあたって、常に悩みの種の1つとなるのが入札方法の選び方。2000年に広告配信サービスを開始して以降、Googleは広告キャンペーンや配信面の拡大にあわせて自動入札機能を充実させてきました。

現在では全面的に自動入札を推奨しており、Google広告の管理画面で手動入札を選ぼうとすると、(非推奨)というサインととともに掲載結果に与える悪影響についてアラートが表示されます。AI(人工知能)の進化を背景に、今後自動入札がスタンダードになっていくのは間違いないでしょう。

ただ、現時点では自動入札だけでカバーできない点があるのも事実。Googleのサジェストに従って自動入札に切り替えたところ、インプレッション数(広告表示回数)やクリック率が急激に低下したり、CPA(コンバージョン獲得単価)が高騰したりして、慌てて手動入札に戻したという人も少なくないようです。

なぜそうしたことが起こるのでしょうか?今回はGoogleの自動入札機能の概要を整理したうえで、メリットとデメリットを探っていきたいと思います。

6つの自動入札戦略

まずは自動入札機能の概要について。現在Google広告には広告利用の目的に応じて主に6種類の自動入札戦略(入札ロジック)が用意されています。それぞれどんなものなのか見ていきましょう。

1.クリック数の最大化

広告キャンペーンの予算を使い、広告のクリック数が最大限多くなるようにAIが自動入札を行います。あらかじめ広告の配信スケジュールを設定しておけば、任意の曜日・時間帯に集中してクリック数を増やすことも可能です。

コンバージョンは加味されないものの、立ち上げたばかりのネットショップなどにとにかく人を集めたいという時、製品やサービスの認知度を高めたい場合などに向いています。

2.コンバージョン数の最大化

名前のとおりコンバージョン数の最大化に特化した自動入札戦略です。過去の広告キャンペーンの運用データ、オークション状況などをもとに、1日あたりの平均予算を使い切ってコンバージョンを増やすために入札単価を設定します。

ある程度まとまった予算を確保したうえでコンバージョン確保を最優先する場合、あるいは運用を始めて日が浅く獲得単価の目標が定まっていない場合、購入データを蓄積していきたい時などに適しているでしょう。

3.目標コンバージョン単価

こちらは予算ではなくコンバージョン単価が基準となる自動入札戦略です。あらかじめ設定した目標単価の範囲内でコンバージョン数が増えるようAIが入札を行います。

うまくフィットすれば必要最小限の広告費で購入や予約につながるのでネットショップなどとは相性が良く、今回取り上げる8種類の自動入札のなかでも最も利用者が多いようです。

その一方、詳しくは後述しますが、過去のデータが少なかったり、あまりにも安い目標単価を設定していたりすると精度が上がらず、コンバージョン数が伸び悩むことも。

4.目標広告費用対効果

キャンペーン全体のROAS(=広告の費用対効果=売上高÷広告費×100)が目標を上回るように自動入札を行います。

一見、上記の目標コンバージョン単価と似ていますが、広告費を抑えてコンバージョン数を増やそうとするのではなく、あくまで売り上げ全体に対して広告費の割合を抑えようする点に違いがあります。

幅広い価格帯の商品を取り扱っていて、購入件数より購入単価によって売り上げが大きく左右されるネットショップなどでは、こちらを利用するケースも多いようです。

5.目標インプレッションシェア

検索ネットワーク(検索キャンペーン)でのみ選択できる自動入札戦略です。Google検索結果画面の最上部あるいは2位、3位など、任意の場所に一定以上の割合で広告表示されるよう自動入札を行います。

実装されて日が浅いこともあってか、目標コンバージョン単価などと比べると利用者数は多くないようですが、ブランディングや認知度アップを目的にGoogle広告を利用する場合、コンバージョン数が突出している広告を上位表示させたい場合などには効果を発揮するでしょう。

6.視認範囲のインプレッション単価

ディスプレイネットワーク専用の自動入札機能です。ネットユーザーが視認できる可能性が高い広告枠への配信を目的に自動入札を行います。

ここで言う“視認”とは、広告全体の50%以上が1秒以上(動画の場合は2秒以上)表示された状態のこと。この視認を1カウントとし、1,000カウントに対して広告費が課金されます。目標インプレッションシェアと同様、ブランディングに適した入札ロジックと言えるでしょう。

 

ここまで見てきた6種類に加え、以前は検索ページの目標掲載位置(ページ上部、1ページ目などへの配信を優先する自動入札)と、目標優位表示シェア(同業他社など、特定ドメインより上位表示させるための自動入札)も用意されていましたが、2019年のアップデートによっていずれも廃止。目標インプレッションに統合されました。

続いて自動入札のメリットとデメリットについて見ていきましょう。

自動入札のメリット

入稿作業が大幅に効率化

Google広告の運用を続けていると、取り扱い商材や事業規模によっては広告グループの数が数百、数千を超えることはざら。それら1つひとつに対して入札単価を設定していくのは非常に手間のかかる作業です。人手や予算に限りがある中小企業には頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

その点、自動入札ならキャンペーン単位でワンタッチに設定可能。細かな調整に頭を悩ませることもありません。おのずと入稿作業に費やす手間は減り、効果測定や広告クリエイティブの改善、ランディングページの見直しなどにリソースを充てられるようになるでしょう。

柔軟に運用できる

上記のとおり、現在Google広告には主に6種類の自動入札戦略が用意されています。

商品・サービスの認知度アップを目指すのなら、クリック数の最大化や目標インプレッションシェア、とにかく購入件数を増やしたいのならコンバージョン数の最大を選ぶのも1つ。収益性を高めたい場合は、目標コンバージョン単価、目標広告費用対効果が有効な選択肢になるでしょう。

事業の成長や局面・商況にあわせて柔軟に広告運用できるのも自動入札機能のメリットだと思います。

自動入札のデメリット

事前のデータ蓄積が不可欠

自動入札を行うAIは過去のコンバージョン実績をもとに入札単価を設定します。Googleの公式発表によれば必要なコンバージョン数は過去1ヵ月間で最低30件以上。これに満たないとAIの機械学習が進まず、十分な精度を得られません。

一概には言えないものの、冒頭で触れたインプレッション数・クリック数の低下、CPAの高騰は、データの蓄積不足に起因するケースが多いようです。

また、自動入札に切り替えた直後はAIがデータを蓄積しようとして広告配信量を増やすので、一時的にCPAが上がる傾向があります。それを抑えようとして手動で予算やキーワードをやみくもに変更するとやはり機械学習の妨げになり、入札の精度が下がります。

ビジネスモデルによってはマッチしないことも…

業態やビジネスモデルによっては自動入札の仕組みが適さないケースもあるので注意しましょう。たとえば、廉価な日用品や雑貨、キッチン用品などを幅広く取り扱うネットショップが自動入札戦略としてコンバージョン数の最大化を選んだ場合。

こうしたネットショップでは低単価の商材でコンバージョンを担保しつつ、アップセルやクロスセルによって収益を確保していく必要があるわけですが、AIが優先するのはあくまで単一のコンバージョン数を増やすこと。商品単価や購入単価は加味されません。

その結果として安い商品にコンバージョンが集中してROASが低下、ネットショップ全体の収益性が伸び悩むというケースは十分に起こり得ます。

最後に

ここまで見てきてわかるように、Google広告の自動入札機能は決して万能ではありません。うまく活用すれば入稿作業は効率化され、柔軟に広告運用できるようになる反面、利用にあたっては事前のデータ蓄積が不可欠。前述のとおり業態やビジネスモデルによってはフィットしないこともあります。

まずはそうしたメリット・デメリットをきちんと理解すること。そのうえでAIに頼りすぎず、反対に干渉もしすぎず、バランスをとりながら向き合っていくこと。それが自動入札を上手く使いこなすための近道ではないでしょうか。

執筆者:AutoPilotAcademy編集部

執筆者:AutoPilotAcademy編集部

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監修者:小池英樹

監修者:小池英樹

AutoPilotAcademy[オートパイロットアカデミー] CEO 小池英樹 新潟市のマーケター(36歳)。新潟県新潟市生まれ、新潟市育ち、上智大学卒。 2011年にRutuboを設立、カネなし、コネなし、ノウハウなしの状況から独立。ヨドバシカメラで購入したホームページ作成ツール「Bind」を手元に事業開始。 顧客ゼロ・無収入の状態から販売促進を学び、中小企業300社以上のオンライン集客支援に携わる。顧客は日本全国及びに海外で活躍する日系企業に及ぶ。 顧客企業の集客支援も手掛ける傍ら、AutoPilotAcademyでは、培ってきた集客のノウハウを伝えている。 顧客獲得に苦心するスモールビジネスオーナーのためのオンライン集客のバイブルを作ることを目標としている。

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