マルチデバイス時代に欠かせない「線」の視点とは?Google広告・アトリビューションモデル活用術

マルチデバイス時代に欠かせない「線」の視点とは?Google広告・アトリビューションモデル活用術

インターネット広告の効果測定においては、「線」の視点を忘れないことが大事。

スマホやアプリが普及したいま、ネットユーザーの多くは情報収集の過程でさまざまな広告を目にします。リスティング広告をクリックして一度はwebサイトを訪れたものの、何らかの理由があって離脱し、時間をおいてディスプレイ広告からあらためて商品を購入したりするケースは珍しくありません。

そうしたなかで1つの「点」としてのクリック率やコンバージョン率だけにとらわれすぎると、どの広告が意思決定を促したのか、購入にいたるまでにユーザーがどういったプロセスを踏んでいるのか見極めづらくなってしまいます。

今回取り上げるアトリビューションモデルは、そうした「線」の視点にもとづく効果測定メソッドの1つ。具体的にどんなものなのか見ていきましょう。

アトリビューションモデルとは?

デジタルマーケティングにおけるアトリビューションモデルとは、広告の間接効果を分析する手法のこと。帰属や属性をあらわす英語の名詞「Attribution」が語源です。

通常の効果測定ではコンバージョンをゴールとし、その直前にクリックされた広告のみが効果をあげた(=コンバージョンに貢献した)と見なされますが、アトリビューションモデルではコンバージョンにいたる経路全体を俯瞰し、ユーザーが閲覧した広告とキーワードそれぞれに貢献度を振り分けていきます。

設定方法次第ではコンバージョンまでの時間に応じて貢献度の割合を決めたり、すべて均等に振り分けたりすることも可能。「点」としての数値だけにとらわれることなく、ユーザーとのタッチポイントを横断的に評価し、広告戦略や予算分配の見直しにつなげられるというわけです。

実際にアトリビューションモデルを用いて成果をあげている企業も少なくありません。

たとえばネットショップ運営企業では、Google広告のアトリビューション分析を行ったところ、購入にいたったユーザーの約75%が複数の広告をクリックしていることが判明。これに沿って広告予算を再分配したことでショップ全体の売り上げを大きく伸ばしました。

Google広告の5種類のアトリビューションモデル

続いては、デジタルマーケティングの基本戦略として多くの企業が活用しているGoogle広告のアトリビューションモデルについて。Google広告には貢献度の振り分け方によって以下5種類のモデルが用意されています。

1.ファーストクリック

名前のとおり、コンバージョン経路のなかで最初にクリックされた広告と関連キーワードに貢献度を割り当てるモデルです。

冒頭で例として挙げた、リスティング広告のクリック後、一度離脱してディスプレイ広告から購入に至ったというケースでは、リスティング広告の貢献度が100%、ディスプレイ広告の貢献度が0%となります。

コンバージョンから最も離れた広告・キーワードを最も高く評価するというモデルであり、自社商品の認知度拡大や知名度アップを目的とした広告施策に用いられます。

2.線形

コンバージョン経路のなかでクリックされたすべての広告とキーワードに均等に貢献度を振り分けるモデルです。たとえば購入までにユーザーが4つの広告をクリックした場合、それぞれ25%の貢献度となります。

コンバージョン経路を客観的に把握する、線の視点を持つという点では役立つ反面、評価が均一にならされてしまうため、本当にどの広告が必要なのか見極めにくくなることも。

そのため前述のファーストクリック、後述する減衰や接点ベースと比べると使われる機会はそれほど多くないようです。

3.減衰

ファーストクリックとは反対に、コンバージョンまでの期間が短い広告・キーワードに高い貢献度を割り当てます。

Google広告の減衰モデルは7日間の半減期が基準となっており、コンバージョンの8日前にクリックされた広告の貢献度は、コンバージョン前日にクリックされた広告の50%となります。

コンバージョンへの時間の短さを評価するという点では今回取り上げた5種類のなかで最もシンプルなモデルであり、初めてアトリビューション分析を行う場合は減衰モデルから始めるのが一般的です。

4.接点ベース

コンバージョン経路のなかで最初と最後にクリックされた広告に貢献度を40%ずつ、その他の広告に残り20%の貢献度を均等に振り分けます。

ファーストクリックと減衰ベースの折衷型のようなモデルともいえ、コンバージョンの入り口・出口をバランスよく評価できるため、減衰モデルとあわせて頻繁に利用されています。

5.データドリブン

過去の広告配信データをもとにコンバージョンにつながりやすい経路を割り出し、貢献度の高い広告とキーワードを評価します。割り振りが自動化・最適化されるうえ、分析の精度にも定評があるようです。

なお、Googleの公式サイトでは上記5種類とあわせてラストクリック(コンバージョン直前にクリックされた広告とキーワードに100%の貢献度を割り当てるモデル)もアトリビューションモデルの1つとして紹介されていますが、こちらは通常の効果測定の枠組みと変わらないため、今回は割愛しました。

また、データドリブンを利用するためには、過去30日間にGoogle検索広告のクリックを3,000回以上、コンバージョンを300件以上獲得している必要があります。

Google広告の運用を初めて日が浅いうちはこの条件を満たせないことが多いので、まずはファーストクリック、減衰、接点ベースのいずれかからスタートするのがおすすめです。

アトリビューションモデルの有効性

ネットユーザーの行動様式・購買スタイルが多様化するなかで注目を集めているアトリビューションモデルですが、具体的にどんな局面や商材に向いているのでしょうか?

1つは、ネットショップなどwebサイト経由の売り上げが伸び悩んでいる時。クリック率、コンバージョン率が平均以上をマークしていて、毎月安定した売り上げを計上してはいるにもかかわらず、数字が高止まりしているという場合、新規ユーザーが増えていない可能性が考えられます。

そうした際にアトリビューションモデルを活用して従来の効果測定では見極めきれない効果、つまり、コンバージョンに直結してはいないものの、ユーザーの認知や比較・検討に一役買っている広告の効果を洗い出し、それらに予算を再配分すれば、新規ユーザーをサイトへ呼び込めるようになるでしょう。

また、アトリビューションモデルを用いた分析は、一般的にBtoB商材と相性が良いと言われています。

SaaS型の業務用ツールや経営コンサルティングといったBtoB商材は、購入・契約の意思決定に3ヵ月、6か月といった期間を要することも珍しくなく、顧客側はその間、多くの広告に触れることになるからです。

以前ご紹介したカスタマージャーニーマップの運用などとあわせてアトリビューション分析を行えば、認知、比較・検討といった各フェーズにおける広告の運用施策改善、クリエイティブの見直しなどにも役立つのではないでしょうか。

一方、食品や日用品といった安価な商材にはあまり向いていません。

これらの商材は比較・検討時間が短く、コンバージョン経路もシンプルなため(端的に言って即断即決で購入するユーザー、あるいは継続購入しているユーザーが多いため)、アトリビューション分析を行っても得られるメリットは薄いでしょう。

今回ご紹介した内容をぜひお役立ていただければと思います。

執筆者:AutoPilotAcademy編集部

執筆者:AutoPilotAcademy編集部

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監修者:小池英樹

監修者:小池英樹

AutoPilotAcademy[オートパイロットアカデミー] CEO 小池英樹 新潟市のマーケター(36歳)。新潟県新潟市生まれ、新潟市育ち、上智大学卒。 2011年にRutuboを設立、カネなし、コネなし、ノウハウなしの状況から独立。ヨドバシカメラで購入したホームページ作成ツール「Bind」を手元に事業開始。 顧客ゼロ・無収入の状態から販売促進を学び、中小企業300社以上のオンライン集客支援に携わる。顧客は日本全国及びに海外で活躍する日系企業に及ぶ。 顧客企業の集客支援も手掛ける傍ら、AutoPilotAcademyでは、培ってきた集客のノウハウを伝えている。 顧客獲得に苦心するスモールビジネスオーナーのためのオンライン集客のバイブルを作ることを目標としている。

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