業種や商材を問わず、リード(見込み顧客)の獲得はビジネスにおいて非常に大切なプロセス。
どんなに優れた製品・サービスでも、興味・関心を持つターゲットの母集団を形成できなければ、売り上げや収益は伸びません。また、メールやSNSを介して直接アプローチできるリードの存在は、商材の機能やデザイン、ユーザービリティをブラッシュアップしていくうえでのヒントにもなります。
今回テーマとして取り上げるリードマグネットはそんなリードを獲得し、成果につなげていくにあたって有効な手段の1つ。どんなものなのか整理したうえで、優れたリードマグネットの条件、具体的な作成方法を詳しく見ていきましょう。
リードマグネットとは?
リードマグネットとは、文字通り見込み顧客を引きつける磁石のようなツールのこと。メールアドレスや電話番号、法人名といった情報と引き換えに提供されるプレゼントや景品を指します。
一般的な種類としては、ビジネスで利用できるチェックリストやTODOリスト、書類のテンプレート、動画ファイル、E-Bookなど。製品の導入事例や活用ノウハウ、市場調査の結果をまとめたホワイトペーパーもリードマグネットの1つです。
また、提供する側の業態によってはクーポンや割引券、試供品、無料体験チケットといった形をとることもあります。いずれもその後のアプローチの基点となる消費者の連絡先・属性情報を得るとともに、製品やサービスに対する関心を高め、コンバージョン(購買、サービスの利用など)につなげやすくするのが役割です。
実際のところ、リードマグネットは多くの業種で活用されており、成功事例も多数。
たとえばある整体クリニックでは、ホームページのダウンロードコンテンツとして腰痛の改善レポートを用意、さらにLINEの友達追加ボタンをタップした人に無料特典を提供する施策を組み合わせることで、来院数・新患数を大きく伸ばしました。
また、クラウド会計ソフトや勤怠管理アプリの開発・販売を手がけるITベンダーの多くは、活用事例集、導入チェックリストといったリードマグネットを通じて多くのリードとユーザーを獲得しています。
リードマグネットに欠かせない3つの要素
続いては効果につながるリードマグネットの条件について。優れたリードマグネット、消費者の興味・関心・購買意欲を喚起するリードマグネットは、おおむね以下3つの要素を兼ね備えています。
1.オリジナリティ
1つ目はオリジナリティ。リードマグネットは基本的に無料で提供されるものですが、受け取る側はメールアドレスや電話番号と引き換える以上、やはり相応の対価を求めます。
テンプレートやチェックリストといった便利ツールにせよ、事例集や活用ノウハウをまとめたE-BOOKにせよ、他のwebサイトからでも入手できるものや、Google検索で見つけられるような情報では意味がありません。リードマグネットの中身に落胆した人は、提供元の製品やサービスにも同じ印象を抱くようになるでしょう。
同様の理由から、投函チラシに付いている割引券と同じ金額のクーポン、街頭でも配られる無料サンプルなどもリードマグネットとしては適していません。リードマグネットを作成する際は必ずオリジナリティを持たせること、そこでしか手に入らないバリューを提供するのが不可欠です。
2.即効性
リードマグネットにおける「即効性」とは、受け取る側がみずからの課題や悩みをいち早く発見できる、あるいは解決できること。
たとえばwebマーケティング会社のリードマグネットなら、検索エンジンの仕組みを解説するテキストよりホームページ診断のチェックリスト、アパレル系ネットショップならブランドコンセプトを紹介するE-BOOKより、サイズの測り方がわかる動画コンテンツ、体形別・年代層別のコーディネート事例集といったリードマグネットの方が受け入れられやすいはずです。
リードを獲得したうえで相手の興味・関心を引き出し、コンバージョンにつなげやすくするためには、リードマグネットそれ自体が「使える」・「役立つ」と感じられるものに仕上がっている必要があります。
3.普遍性
そうした一方、リードマグネットにはある程度の普遍性・汎用性を持たせることも大切なポイントの1つ。消費者1人ひとりの志向や課題意識に寄り添おうとしてあまりにニッチなものにしてしまうと、ダウンロード数が伸び悩み、当初の目的であるリード獲得そのものが危うくなるからです。
一見相反するようにも思えますが、オリジナリティが高く即役立つものでありながら、より多くの人が長く、幅広く利用(もしくは参照)できるのが、優れたリードマグネットの条件です。
リードマグネットの作成方法
ここからは上記の内容をふまえつつ、リーマグネットのつくり方をご紹介していきます。
1.ターゲットを決める
最初のステップはターゲットの選定です。リリース済みの商材ならこれまでの販売実績や顧客データ、販売開始を控えた製品やサービスなら商材の特性や強み、コンセプトを参考にしつつ、誰にリードマグネットを届けるのか(=どんな消費者層・購買層をリードとして獲得していくのか)決めていきます。
ターゲティングの方法として広く知られているのはペルソナ設計。ターゲットの年齢や性別、職業とあわせて、居住地や生活スタイル、趣味・特技まで絞り込んでいくやり方です。ターゲットの具体的な人物像を定めておくことで、伝えるべき情報が明確になり、テーマ決めやコンテンツ、ツールの作成もスムーズに進められます。
2.テーマ・媒体・形式を決める
ターゲットが定まったら、ネット検索やソーシャルメディアを活用してリサーチを重ねながら、全体のテーマと媒体(PDF形式のE-BOOK、動画など)、形式(事例集・ノウハウ集、便利ツールなど)を決めていきましょう。
BtoC商材なら自社の業態・商材ジャンルと、ペルソナの属性・志向を組み合わせたキーワード(例.「30代女性 美容 悩み」など)で検索し、上位に表示されるブログ記事やSNSの投稿を参考にしながら、テーマや媒体、形式を絞っていくのがおすすめです。
一方、BtoB商材の場合は、異業種を含めた他社のwebサイト、とりわけSaaS型サービス(クラウド型会計ソフト、人事労務アプリなど)を提供しているITベンダーのサービスサイトが参考になるでしょう。最初にも触れたとおり、そうしたITベンダーのほとんどがホワイトペーパーをはじめとするリードマグネットを活用し、多くの見込み顧客を得ているからです。
ちなみにダウンロード数を念頭に置いた場合、数字が伸びやすいと言われているのは、PDF形式の事例集や活用ノウハウ集。これらは提供元オリジナルの情報によって購買やサービス利用のメリットがひと目でわかるようまとめられており、使い方次第では社内の業務改善などにも幅広く役立ちます。
一方、ビジネス文書のテンプレートやフォーマット、市場調査のレポートといったリードマグネットは、ダウンロードしてすぐに使える(もしくは学べる)という点で即効性が高いようにも思われますが、無料ツールのダウンロードサイトやオウンドメディアの記事と競合してしまうケースが多く、事例集などと比べるとややダウンロード数が伸びにくいようです。
3.制作する
テーマや形式が決まったら、次はいよいよ制作。
チェックシートやテンプレート、診断ツールの場合はダウンロードした人がすぐ使えるよう、全体のサイズやデザイン、文字の大きさに気を配りながら形にしていきましょう。
一方、事例集や活用ノウハウ集、調査レポートは、やはりコンテンツの質が肝。必要に応じて取材なども行いながら、商材の特徴や業界動向をわかりやすくひも解き、即役に立つコンパクトな情報へ変換して見せるのがポイントです。調査レポートの場合、インフォグラフィック(※)としてまとめるのもいいかもしれません。あわせてダウンロードが負担にならないよう、容量に気を配るのも忘れずに。
※図表やイラスト、数字、文字を組み合わせてデータを視覚化したコンテンツ
AutoPilotAcademyのリードマグネットの例
リードマグネットの例として、AutoPilotAcademyでは、見込み顧客の獲得に悩む方向けに、リードマグネットの83個のアイデアを提供しています。
「顧客リストを成長させるのに役立つ」「見込み顧客を集めるのに役立つアイデアを得る」「現在や将来の売上や利益を拡大する」といったベネフィットを見込み顧客に提示し、オファーに反応してもらうようにしています。
最後に
うまく活用すれば見込み顧客の獲得はもちろんのこと、コンバージョンにも大きく貢献するリードマグネット。リードセールスに携わる方やマーケティング担当の方は、今回ご紹介した内容をぜひお役立ていただければと思います。
執筆者:AutoPilotAcademy編集部
AutoPilotAcademy[オートパイロットアカデミー]は見込み顧客獲得と成約率向上のための最善の方法をお教えしています。
ネットを使って顧客との強固な関係を構築することができるようになり、小さな企業でも大きな成長を実現することができます。
監修者:小池英樹
AutoPilotAcademy[オートパイロットアカデミー] CEO 小池英樹 新潟市のマーケター(36歳)。新潟県新潟市生まれ、新潟市育ち、上智大学卒。 2011年にRutuboを設立、カネなし、コネなし、ノウハウなしの状況から独立。ヨドバシカメラで購入したホームページ作成ツール「Bind」を手元に事業開始。 顧客ゼロ・無収入の状態から販売促進を学び、中小企業300社以上のオンライン集客支援に携わる。顧客は日本全国及びに海外で活躍する日系企業に及ぶ。 顧客企業の集客支援も手掛ける傍ら、AutoPilotAcademyでは、培ってきた集客のノウハウを伝えている。 顧客獲得に苦心するスモールビジネスオーナーのためのオンライン集客のバイブルを作ることを目標としている。