webマーケティングにおいて効果測定は最も重要なプロセスの1つ。webサイトのリニューアルも、SEO対策、広告出稿といった集客対策も、その根拠となるデータなしには始まりません。
ただ、アクセス解析やABテストといった通常の効果測定で得られるのは、あくまで行列化された数値のみ。クリック率1つとってもボタンやURLの位置、ページの構成、読みやすさなどさまざまな要因に左右されるわけで、それらの因果関係を数値だけで見極めるのは困難です。
また、行列化されただけの数値は具体的なイメージにつながりにくいため、社内ミーティングなどでデータを共有しても問題点や改善すべきポイントが理解されず、対策の予算がなかなか下りないといったケースもあるのではないでしょうか
そうした際に役立つのが、今回取り上げるヒートマップです。
マーケティングの意思決定のために必要なデータの測定法と測定したデータを最大限に活かすための方法について解説しています。本講座をご受講頂いて、あなたのビジネスでデータドリブンマーケティングを実践してください。そして、8割の成果につながる2割のデータを見極め、より効果的な次の一手を考え、売上を上げる施策につなげてください。
ヒートマップとは?
ヒートマップとは色の濃淡によって数値を視覚化する分析手法、または分析ツールのこと。温度差をあらわすサーモグラフィのように数値が高い部分を赤、低い部分を青、中間を黄・緑といった形で色分けし、そのグラデーションによって全体の分布、数値のバラつきを示します。
分析手法としての歴史は比較的新しく、ヒートマップという言葉が生まれたのは1993年。アメリカ人起業家のコーマック・キニ―氏が金融マーケット情報を2次元化するツールを開発し、そのツールがヒートマップとして商標登録されました。
その後、ヒートマップは分子生物学や遺伝子学などの分析手法として幅広く取り入られることに。2000年代の中頃からはwebサイトの効果測定ツールとしても定着し始めます。現在、市販・公開されているwebサイト用のヒートマップは国内だけで優に100種類以上にのぼり、成功事例も少なくありません。
たとえば大手家電メーカーのパナソニックは、自社サイトの効果測定ツールとしてヒートマップを導入。
多くのユーザーが製品スペック表を熟読してクリックしているにもかかわらず、それが一覧ページの下部に置かれている点、かつ表にリンクが貼られていないために、製品ページへ人を集められていない点を課題として見出しました。
そこでスペック表をファーストビューへと移動させ、あわせてクリッカブルにしたところ、一覧ページの離脱率を4ポイント、滞在時間を25%以上改善しています。
ヒートマップでできること
概要を整理したところで、続いては具体的にどんなことができるのか、ヒートマップによって可視化できる3つの要素を見ていきましょう。
1.閲覧率/離脱率(どこまで見られたか)
ヒートマップの多くには、「スクロールマップ」という機能が付いており、webサイトを訪れたユーザーがページのどこまスクロールしてどこで離脱したのか、色のグラデーション&閲覧率のパーセンテージで示します。
PC、スマートフォン問わず、ネットユーザーは上から下へ向けてスクロール(スワイプ)しながらページを閲覧するため、画面上部は赤&100%に近い閲覧率をマーク、そこから下に向けて黄→緑→青と色が変化、あわせて閲覧率も先細りしていくのが通常の形です。
コンテンツマーケティングやコンテンツSEOにおいては、このなかの50%ラインがポイントとされ、閲覧率50%のライン付近にコンテンツの肝となる情報、ユーザーの役に立つ情報を配置することで、離脱を抑えやすくなると言われています。
一方、画面下部に広告枠が集中しているポータルサイト、ニュースメディアなどでは、ページ上部2/3ほどでグラデーションが真っ青、0%に近い閲覧率を示すことも。そうした場合は出稿料の見直しなども必要になってくるでしょう。
2.閲覧時間(どこが注目されたか)
ユーザーがスクロールを止めた時間を計測し、ページのどの部分が注目されたか示す「アテンションマップ」もヒートマップの代表的な機能です。静止時間が長いエリア(ユーザーが注目・熟読しているエリア)は赤、時間が短くなるにつれて黄→緑→青と表示されます。
ページの構成としては前述のとおり、閲覧率50%のライン付近で滞在時間が最も長くなるのが理想的。
一方で画面上部だけが赤く、直下で青へと変化しているのなら、リードが機能していない(冒頭でユーザーの興味・関心を喚起できていない)、あるいは全体で緑・青の比率が大きい場合は単に読み飛ばされている可能性が高いので、ページの構成を見直す必要があるでしょう。
具体的な対策として考えられるのは、流入の多い検索ワードを文章に盛り込む、ストレスなく読み進められるよう漢字をひらく(かな文字に置き換える)、行間(おおむね150文字前後で改行が目安)を設ける、など。複雑な文章ならイラスト・図表に置き換えるのも効果的です。
クリック分布(どこがクリックされたか)
3つめはクリックの分布、ページ内のどこがクリックされたのか示す機能です(クリックマップ)。アクセス解析ツールとは異なり、もともとリンクが貼られていない箇所のクリック数・クリック率まで計測できる点に、ヒートマップならではの特徴があります。
前述のとおり、パナソニックはこの機能を活用して大きな成果をあげました。クリック率そのものを向上させるため施策はもちろんのこと、webユーザビリティの評価・改善にも大いに役立つ機能です。
たとえば購入・問い合わせボタンの周囲、テキストや余白部分のクリック数が多いのなら、それはミスタッチが多発している証拠。ユーザーの意思どおり次のページへと速やかに誘導するためには、ボタンのサイズや色のコントラスト、余白を含めたクリエイティブ面の見直しが欠かせないというわけです。
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中小企業向けの無料ヒートマップ3選
ここまでヒートマップの代表的な機能や効果を見てきましたが、いざツールを導入するとなると、気になるのがコストの問題。
実際、機能によっては月額10万円単位のコストがかかるものも少なくなく、予算の限られる中小企業には導入に二の足を踏んでいる担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
最後はそうした方に向けて、無料プランが用意されている3つのヒートマップをご紹介します。
1.User Heat
webマーケティング支援ツールの開発・販売を手がける株式会社ユーザーローカル(東京都品川区)が提供しているヒートマップです。
前述の3種類の機能とあわせて、マウス操作の動きを可視化するマウスムーブ機能が付いており、月間30万PVまでのwebサイトなら無料で利用できます。
導入社数はトータル2,000社以上。シンプルで使いやすい画面も好評を得ているようです。
User Heat
2.Ptengine
株式会社Ptmind(東京都渋谷区)が開発・提供しているヒートマップです。3,000PVまで無料で利用できます。アカウント開設などの初期費用も一切かかりません。
有名企業への導入実績も少なくなく、CMでもおなじみのRIZAPはPtengineを活用してwebページのフォーム入力率を2.5倍、申し込み件数を167%伸ばしました。
Ptengine
3.MIERUCA HEATMAP
こちらは株式会社Faber Company(東京都港区)が開発・販売を手がけるヒートマップ。月間1万PVまでのwebサイトなら期間の制限なく、無料で利用できます。
アテンションマップやスクロールマップといった充実の基本機能に加え、タグ設置の代行、オンライン活用レクチャーなど、開発元のサポート体制も人気の理由のようです。
MIERUCA HEATMAP
今回の内容がみなさまの役に立てば幸いです。
執筆者:AutoPilotAcademy編集部
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監修者:小池英樹
AutoPilotAcademy[オートパイロットアカデミー] CEO 小池英樹 新潟市のマーケター(36歳)。新潟県新潟市生まれ、新潟市育ち、上智大学卒。 2011年にRutuboを設立、カネなし、コネなし、ノウハウなしの状況から独立。ヨドバシカメラで購入したホームページ作成ツール「Bind」を手元に事業開始。 顧客ゼロ・無収入の状態から販売促進を学び、中小企業300社以上のオンライン集客支援に携わる。顧客は日本全国及びに海外で活躍する日系企業に及ぶ。 顧客企業の集客支援も手掛ける傍ら、AutoPilotAcademyでは、培ってきた集客のノウハウを伝えている。 顧客獲得に苦心するスモールビジネスオーナーのためのオンライン集客のバイブルを作ることを目標としている。
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