【事例付き】ECサイト運営の基本中の基本。顧客を動かす価格プロモーション戦略とは?

【事例付き】ECサイト運営の基本中の基本。顧客を動かす価格プロモーション戦略とは?

企業間取引の支援プラットフォームを運営する株式会社プラネット(東京都港区)が2021年に行った調査によると、ネット通販で消費者が重視するのは「価格」が79.9%で第1位。第2位に「実店舗との価格差(38.9%)、第3位に「利用可能なポイントサービス」(38.2%)と続きます。

ストーリーテリングやインフルエンサーマーケティングに取り組むEC事業者が増えている一方、ネット通販の利用者のあいだでは、今もなお「安さ」が大きなトリガーになっているのは間違いありません。

実際、この記事を読んでいる方のなかにも、複数のECモールで最安値を比較したり、家電量販店などで製品をチェックした後にあらためてネットで値段を調べたりした経験のある方は多いはずです。

そうしたなかで効果を発揮するのが、今回取り上げる価格プロモーション戦略。マーケティング施策としての概要や種類を整理したうえで、具体的なメリットや実施する際の注意点を見ていきましょう。

価格プロモーション戦略とは?

価格プロモーション戦略とは?

価格プロモーション戦略とは、企業がモノやサービスの販売を進めるために、一時的に価格を下げるマーケティング上の施策です。

簡単に言ってしまえば「値引き」ですが、利益が出るギリギリのラインまで価格を下げてモノを売り続けるのではなく、新規顧客の獲得やロイヤルティの向上といった明確な目的を定め、一定の期間中だけ実施するという点で、単なる値引き、安売りとは異なります。

たとえば、Amazonは毎年2日間のみプライム会員限定のセール「プライムデー」を開催しており、2022年は日本国内だけで累計1,400万点以上のアイテムを販売。アメリカ国内では対前年比8.5%増となる約120憶ドル(約1兆5,900億円)もの売上を計上しました。

一方、国内のEC市場を牽引する楽天も四半期ごとのビッグセールとして「楽天スーパーセール」を実施し、1日あたり数百億円規模の流通額(取引総額)をマークしています。

楽天ユーザーのなかには、スーパーセールに向けて日ごろからコツコツとポイントを貯め、セールのたびに大量に買い物をする人が少なくありません。期間限定のピンポイントなセールを開催することで、結果的に顧客の中長期的な囲い込みへつながっているというわけです。

価格プロモーション戦略の施策

続いては価格プロモーション戦略ついて、具体的にどういった施策があるのか、大きく3つに分けてご紹介します。

1.フラッシュセール

フラッシュセール

短期間のうちに商品を大幅にディスカウントして販売したり、ディスカウント自体に一定の条件を設けて販売したりする施策です。

前者には先述したAmazonプライムデーや楽天スーパーセールの他、販売元が直接運営するオンラインショップのシーズンセール、期間限定の割引キャンペーンなどが該当します。

また、2000年代の後半からは海外を中心にフラッシュセールに特化したECサイトを運営する企業も増えてきました。

たとえばアメリカ・ニューヨーク州に本社を構えるギルト・グループは、2009年に日本のEC市場へ参入。30代~40代の女性をターゲットとした高級ブランド品のディスカウント販売によって、毎年2桁以上のペースで売上を伸ばしています。

ギルト:ウィメンズストア

https://www.gilt.jp/stores/women

一方の後者に該当するのは、2014年まで楽天市場で行われていた共同購入など。特定の商品の購入希望者を募り、その数が一定以上に達した段階で値引きするという販売手法です。

2020年まで日本でサービスを展開していた「Groupon」も、購入希望者数の達成によって配布される割引クーポンによって人気を博していました。

2.BOGOF

BOGOF

BOGOF(ボグオフ、ボゴフ)とは、「Buy one, get one free」の頭文字をとったマーケティングの造語。商品を1つ購入した消費者に対し、同じ商品をもう1つ無料で提供するという手法です。アクセス数(来店者数)の増加や宣伝効果が見込めます。

身近なところでは、宅配ピザチェーンのドミノピザが2012年から2020年まで、テイクアウトでピザを購入するともう1枚が無料になるというキャンペーンを実施。Webメディアなどで話題を集めました。その他、Uber Eatsも2020年に同様のキャンペーンを行っています。

ちなみにBOGOFは過去に問題となった抱き合わせ販売と混同されることもあるようですが、違法性はありません。消費者庁では、ある商品の購入者に対し、それと同一の商品を提供することは、「正常な商習慣に照らして値引きと認められる経済上の利益」としています。

※抱き合わせ販売…不人気の商品の在庫をさばくために人気商品とセットで売る手法

3.ロイヤルティプログラム

ロイヤルティプログラム

商品を頻繁に購入したり、サービスを繰り返し利用したりしてくれる顧客に向けて、特典を付与するマーケティング施策です。

具体的な手法としては、会員ランク別のポイント付与やクーポンの配布など。Amazon、楽天をはじめとする大手ネット事業者がこうした施策によって顧客を増やし、囲い込んできたのは広く知られているとおりです。

また、世界83ヵ国にコーヒーチェーンを展開するスターバックスでは2017年に「スターバックス®リワード」というプログラムをスタート。商品の購入54円分ごとにポイント(スター)を1個付与し、150個貯まるとチケットへと変換して、700円までのドリンクやフード、コーヒー豆と交換できるというサービスを続けています。

この施策はロイヤルティプログラムの成功事例としてメディアで紹介されることが多く、スターバックスの事業拡大にも貢献しているようです。

実施する際の注意点

新規顧客の獲得や囲い込みに大きな効果を発揮する価格プロモーション戦略ですが、実施する際は具体的にどんな点に気を配るべきなのでしょうか?

まず前提となるのは、景表法を遵守すること。

少し堅苦しい話にはなりますが、消費者庁が管轄する景表法(不当景品類及び不当表示防止法)は、不当な二重価格の表示を禁止しています。

商品の元値(通常価格、一般販売価格など)については、割引前の販売期間8週間のうち4週間以上(販売期間が8週間未満の場合は2週間以上)の販売実績がなければ記載できません。

セール期間中の割引額や割引率を大きく見せようとするあまり、商品ページなどに架空の元値を記載してしまうと景表法に抵触し、改善の措置命令や罰金が科せられることもあります。事業を続けていくという点でも、まず景表法の取り決めを守るのは必須です。

加えて、セールやポイントキャンペーン、クーポンキャンペーンを行う頻度についても注意しましょう。あまりにも頻繁に値引きをしたり、ポイントをばら撒いたりしていると消費者に安売り業者、薄利多売の会社といった印象を与え、ブランドイメージが傷ついてしまうからです。

前述のとおり、Amazonのプライムセールは1年のうちわずか2日間。ネット通販の利便性や価格優位性を前面に押し出して事業を拡大してきた楽天でも、スーパーセールは今のところ年4回の開催にとどめています。

顧客を囲い込み、中長期的に利益をあげていくためには、モノの値段は下げてもブランドの価値は落とさないこと。顧客の特別感、期待感をキープ続けるための節度も大切だと思います。

今回の内容がみなさまの参考になれば幸いです。

執筆者:AutoPilotAcademy編集部

執筆者:AutoPilotAcademy編集部

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監修者:小池英樹

監修者:小池英樹

AutoPilotAcademy[オートパイロットアカデミー] CEO 小池英樹 新潟市のマーケター(36歳)。新潟県新潟市生まれ、新潟市育ち、上智大学卒。 2011年にRutuboを設立、カネなし、コネなし、ノウハウなしの状況から独立。ヨドバシカメラで購入したホームページ作成ツール「Bind」を手元に事業開始。 顧客ゼロ・無収入の状態から販売促進を学び、中小企業300社以上のオンライン集客支援に携わる。顧客は日本全国及びに海外で活躍する日系企業に及ぶ。 顧客企業の集客支援も手掛ける傍ら、AutoPilotAcademyでは、培ってきた集客のノウハウを伝えている。 顧客獲得に苦心するスモールビジネスオーナーのためのオンライン集客のバイブルを作ることを目標としている。

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