マーケティングの世界には「1:5の法則」、「5:25の法則」という有名な法則があり、新規顧客に商材を販売するには既存顧客へ売る際の5倍のコストかかり、既存の顧客離れを5%改善すれば利益が25%向上するとされています。
加えて、2010年代以降は多くの業界でコモディティ化が進み、爆発的なヒット商品を生み出すのは難しくなりました。そうしたなかで事業を拡大し、継続的に収益を得ていくには、顧客1人ひとりとの信頼関係やエンゲージメントをいかに高められるかが鍵となってきます。
というわけで、今回のテーマは顧客満足度。顧客満足度を向上させるマーケティングの行動指針として、3つの基本的なポイントをご紹介します。また、後半ではKPIとしての顧客満足度を的確にジャッジ・運用するための注意点についても解説します。あわせて参考にしてみてください。
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顧客満足度を高める3つのポイント
1.安心感を与える
顧客満足度を高めるうえでまず前提となるのが、安心感を与えること。どんなに魅力的な商材を提供していても、誰がどう経営しているのか分からず、事業基盤のはっきりしない会社と継続的に契約・取引しようとする消費者はいません。
特別な事情がない限り、コーポレートサイトやサービスサイトには経営者・代表の写真を掲載し、ランディングページの特商法にもとづく表記やプライバシーポリシーはもれなく正確に記載しましょう。
加えて、SNSマーケティングに取り組んでいる企業の場合は、自己紹介文に事業内容やアカウントの開設目的、投稿の趣旨を明記しておくのも忘れずに。
2.接点を途切れさせない
2つめのポイントは、顧客との接点をキープし続けること。Webサイトには必ず問い合わせフォームを設けたうえで、カスタマーサポートの担当者を配し、相談や質問があった際はいち早く対応するようにしましょう。
仮に商品やサービスに不備がありクレームが発生してしまった際も、真摯かつスピーディーな対応をとることで、顧客側の印象は大きく変わってきます。その結果として継続的な購入、友人・知人の紹介など、ロイヤリティ向上につながることも珍しくありません。多忙や人手不足を理由に、顧客からのコンタクトを放置してしまうのは絶対にNGです。
あわせて商品の仕様や価格、サービス体制などに大きな変更があった場合は、メールやSNSアカウントを併用し、もれなく周知するようにしましょう。
3.付加価値を提供する
上記の2点に加え、付加価値を提供するのも大事なポイントの1つ。広く知られているとおり、Amazonや楽天といった大手ネット事業者はポイントやクーポンを付与することで多くの顧客を囲い込んできました。最近では、ユーザーに対してキャッシュの代替手段となるポイントをプレゼントするゲーム運営会社なども増えています。
もちろんポイント、クーポンには原資が必要になりますし、施策としては身も蓋もないように思われるかもしれませんが、受け取る側には実利的なメリットだけでなく、「顧客として大事にされている」、「きちんと気遣ってもらっている」といった意識が生まれます。
おのずとブランドやサービスへの愛着も湧き、満足度の向上につながりやすくなるでしょう。
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顧客満足度のミスリードを避けるために
ここまで顧客満足度を高めるための基本的な行動指針として、3つのポイントをご紹介してきましたが、指標としての顧客満足度はそれ自体ミスリードを引き起こすリスクを孕んでおり、事業のKPIとして用いる場合は特に注意が必要です。
具体的にどんなミスリードが起こり得るのか、やや突飛な例ではありますが、架空の飲食店をモデルに見ていきましょう。
【モデル】
・開業10年目の洋食店。売り上げは頭打ち気味
・一方で店主は料理のクオリティに絶対的な自信を持っている
・自信の理由は「うちの常連はみんな美味しいと言って店に通ってくれる」から
この(架空の)店主は顧客の声に耳を傾け、料理人、経営者としての矜持を保っているようにも見えますが、1つ大きな過ちを犯してしまっています。言うまでもなく、常連以外の評価に目を向けていないという過ちです。
そもそも、飲食店で食事をして「不味い」と感じた人が、それをそのまま店主や店員へ伝えるのは稀。多くの場合、黙って会計を済ませて店を後にし、二度と訪れなくなるだけです。
つまり、常連がいくら美味しいと言っていたとしても、それはたまたま個人の好みと店の味がマッチしただけに過ぎず、常連がマイノリティである可能性、店の料理のクオリティが世間一般の美味しさの基準に達していない可能性は拭いきれません。
にもかかわらず、常連の評価だけにあぐらをかいている店主はそれに気づかず、確かめようともしないというわけです。
こうしたケースは、実はあらゆる商材で起こり得ます。たとえば、業務用スマホアプリやSaaSを導入してみたものの、「使えない」、「自分には合わない」と感じ、一度きりで利用をストップしてしまった人。使い勝手に関する意見や感想を開発元へフィードバックすることもなく、即刻アカウントを削除してしまったという人は決しては少なくないでしょう。
商材を提供する側としては本来、そうした評価すら与えてくれない潜在的な超ネガティブユーザーの存在を前提とすることで、サービスやプロダクトの改善点を見出しやすくなるはずなのですが、表面的な顧客満足度だけにとらわれすぎると改善に向けた視座は失われ、前述の店主と同じ状態に陥ってしまいます。
端的に言えば、顧客満足度というのは、分母が決して100になり得ない指標です。
大切なのは、そうした認識をきちんと持ち、満足度のWebアンケートなどに回答してくれる顧客は、その時点で既に好意的な顧客なのだと解釈すること(=その裏には可視化されない超ネガティブ層が常に存在すると理解すること)。そのうえでリピート率や契約継続率といった指標も照らし合わせ、評価を冷静にジャッジするのが、顧客との信頼関係やエンゲージメントを高めていくうえで何より重要なポイントではないでしょうか。
今回の内容がみなさまの参考になれば幸いです。
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執筆者:AutoPilotAcademy編集部
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監修者:小池英樹
AutoPilotAcademy[オートパイロットアカデミー] CEO 小池英樹 新潟市のマーケター(36歳)。新潟県新潟市生まれ、新潟市育ち、上智大学卒。 2011年にRutuboを設立、カネなし、コネなし、ノウハウなしの状況から独立。ヨドバシカメラで購入したホームページ作成ツール「Bind」を手元に事業開始。 顧客ゼロ・無収入の状態から販売促進を学び、中小企業300社以上のオンライン集客支援に携わる。顧客は日本全国及びに海外で活躍する日系企業に及ぶ。 顧客企業の集客支援も手掛ける傍ら、AutoPilotAcademyでは、培ってきた集客のノウハウを伝えている。 顧客獲得に苦心するスモールビジネスオーナーのためのオンライン集客のバイブルを作ることを目標としている。