2020年9月17日にリリースされたAppleのiOS14。ホーム画面へのウィジェット追加、Safariの高速化、翻訳アプリの標準搭載など、iOS13からの変更点は少なくありませんが、なかでも注目を集めているのが大幅に厳格化されたプライバシーポリシーです。
これにより、デジタルマーケティングの定石であるインターネット広告&SNS広告はターゲティングから配信・効果測定まで非常に大きな影響を受けることになります。
今回はそのなかからFacebook広告をピックアップし、具体的にどんな制限がかかるのか、広告効果にどう作用するのか解説していきます。
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iOS14のプライバシーポリシー
まずはiOS14のプライバシーポリシーについて。広告にとりわけ大きな影響を与える3つの変更点をまとめました。
1.IDFAがデフォルトOFFに
IDFA(Identifier for Advertisers)とは、iPhone端末に対して個別に付与されるIDのこと。
IDFAがあることによって、複数のiPhoneアプリをまたいだ行動(SNSでの閲覧・投稿、ショッピングアプリにおける商品購入など)を、1人のユーザーのアクションとして識別・計測できるようになるわけです。
これまでIDFAは全アプリ共通の設定としてデフォルトでONになっており、ユーザーが意図的に変更しない限り(ONになっている状態にユーザーが気づいていない状態も含め)広告主側でIDFAを取得することができましたが、iOS14ではデフォルトOFFの設定に。
メルマガのパーミッションと同様、広告にわずらわしさを感じているユーザーの多くがIDFAのトラッキング・提供を拒み、広告主側はそうしたユーザーを識別できなくなる(=広告の配信対象に指定できなくなる)可能性が高まりました。
2.ITPにリダイレクトトラッキングが追加
ITP(Intelligent Tracking Prevention)は、ユーザーのプライバシー保護を目的とするiOSの機能の1つ。過度なサイトトラッキングを防ぐため、iOS11からwebブラウザ・Safariに搭載されています。
これまでのITPは主に、webサイトからブラウザに付与されたCookieを一定期間経過後に削除したり、条件によっては即時無効にしたりすることで、ユーザーが追跡されるのを防ぐ形をとってきましたが、今回新たにリダイレクトトラッキング機能が追加。
リダイレクトページ(※サイトからサイトへ遷移する間に挟み込まれるページ)を使ってCookieを付与するプロセスそのものが無効化されました。
3.Safari以外のブラウザにもITPが適用
さらにiOS14からはGoogle ChromeをはじめとするSafari以外のブラウザと、各アプリのWebView(アプリのなかでwebサイトを表示する機能)にも前述のITPが適用されています。
これによってiPhoneユーザーのCookie追跡はほぼ不可能に。ユーザー1人ひとりの行動履歴・閲覧履歴にあわせて広告を配信するのも非常に難しくなりました。
Facebook広告に与える影響
次は上記の変更点がFacebook広告に与える具体的な影響、懸念点について。Facebook側がこれまでに行ってきた対応を含めて見ていきましょう。
広告の配信量が減る
まず大きな影響として考えられるのは、広告配信量の減少です。
前述のとおり、Appleはユーザーのプライバシー保護を念頭に置き、iOS14からIDFAのデフォルト設定をOFFにしました。ユーザー側が設定を変更しない限り、Facebook広告の広告主がIDFAを取得することはできません。
IDFAには個人を特定できる情報を除いたユーザー属性(年齢、性別など)や行動履歴のデータが含まれているため、IDFAがないということは、広告のターゲットとしてそのユーザーは存在しないのとほぼ同義。
おのずとターゲティングの母数は減り、リターゲティング広告を中心にFacebook広告全体の配信量が低下すると思われます。
ターゲティング精度が落ちる
iOS14のプライバシーポリシー変更にともない、Facebookは従来のピクセル測定に代わって合算イベント測定という計測の仕組みを導入しました。
これにより広告主が計測できるイベント(商品の購入、予約、ショッピングカートへの追加といったコンバージョンポイント)は最大8つまでに制限。
さらに、IDFAのターゲティングを許可していないユーザーに関しては、8つのイベントに優先順位をつけたうえで、最上位の1つしか計測できなくなりました。
これまでのように、複数のイベント計測結果を組み合わせて確度の高いターゲットを絞り込むというメソッドは成立しにくくなるでしょう。
加えて、iPhoneユーザーのCookieトラッキングが事実上不可能になったことで、ユーザーの興味・関心を把握するのも難しい状況に。配信量とあわせてターゲティング精度も落ちると懸念されています。
※なお、上記の合算イベント設定を行うためには、対象となるwebサイトのオーナーであることをFacebook側に示すドメイン認証が必須。広告マネージャーの「ビジネス設定」からドメイン名を入力し、FTPツールなどによってHTMLファイルをアップロードする必要があります。
効果を検証しにくくなる
Facebookではイベント測定の枠組みとあわせて、アトリビューションウインドウ(Facebook広告を閲覧またはクリックした人がコンバージョンに至るまでの日数)の設定も変更しています。
以前は広告の閲覧から1日以内、クリックから28日以内に発生したコンバージョンを広告に起因するアクションとして計測できましたが、2021年1月からは一律「クリック後7日以内」に。
ユーザーがFacebook広告をクリックした後、8日以上の期間を空けて商品やサービスを購入・利用した場合、広告の成果とは見なされなくなったわけです。
顧客の検討期間が長い高額商品やBtoB商材を取り扱っている企業では、Facebook広告の効果を把握・検証しにくくなるのではないでしょうか。
また、アトリビューションウインドウが短くなったことで、Facebook広告とステップメールを組み合わせた施策などにおいても、勝ちパターンを見出しにくくなると思います。
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どう対策する?
ここまで見てきてわかるとおり、iOS14のプライバシーポリシーによってFacebook広告の費用対効果が下がるのは避けられそうにありません。iPhoneシェアが高い日本ではデジタルマーケティングに取り組む中小企業を中心に、とりわけその影響が大きく出そうです。
また、Appleの発表にともない、Googleからも今後IDFAの取得やCookieのトラッキングを行わないというアナウンスがありました。今後もこうした規制強化、ユーザーのプライバシーを重視する動きは加速していくでしょう。
そうしたなかでFacebook広告を活用してきたわれわれマーケターは、どんな対策をとるべきなのでしょうか?
1つは、運営元であるFacebook社のアナウンス、公式サイトで発信される情報を常にキャッチアップしておくこと。Facebook社はAppleのプライバシーポリシーを批判しながらも、IDFA、Cookieの取得制限による広告への影響を抑えるためにさまざまな施策を重ねています。
Googleが開発を進めるFLoCのように、近い将来、画期的なグルーピング、ターゲティングの仕組みが実装されるかもしれません。
そうした際に速やかに対応できるよう最新情報を把握し、前述のログイン認証などを含め、広告アカウントを運営側が推奨する状態に保っておくのは大切だと思います。
また、業態や取り扱う商材によっては、これまでの配信方法を大きく見直してみるのも1つ。
たとえば、Facebook広告には特定エリアのみ配信対象とする地域ターゲティングや、配信する(あるいは除外する)webサイトを指定できるプレースメントターゲティングも用意されており、いずれもIDFAやCookie情報の有無にかかわらず利用できます。ローカルSEOと組み合わせることで大きな集客効果につながった事例も少なくないようです。
今回の内容がみなさまの役に立てば幸いです。
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執筆者:AutoPilotAcademy編集部
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監修者:小池英樹
AutoPilotAcademy[オートパイロットアカデミー] CEO 小池英樹 新潟市のマーケター(36歳)。新潟県新潟市生まれ、新潟市育ち、上智大学卒。 2011年にRutuboを設立、カネなし、コネなし、ノウハウなしの状況から独立。ヨドバシカメラで購入したホームページ作成ツール「Bind」を手元に事業開始。 顧客ゼロ・無収入の状態から販売促進を学び、中小企業300社以上のオンライン集客支援に携わる。顧客は日本全国及びに海外で活躍する日系企業に及ぶ。 顧客企業の集客支援も手掛ける傍ら、AutoPilotAcademyでは、培ってきた集客のノウハウを伝えている。 顧客獲得に苦心するスモールビジネスオーナーのためのオンライン集客のバイブルを作ることを目標としている。